
コニカミノルタの人財育成「システムアーキテクト」編 その④
目次[非表示]
- 1.はじめに
- 2.Phase3・最終報告会の概略説明
- 3.Phase3・最終報告会の詳細紹介
- 3.1.第1回:MOT教育
- 3.1.1.アイデア検討
- 3.1.2.MOT (Management Of Technology)
- 3.2.第2回:MOT発表&チーム分け
- 3.3.第3回:チーム検討(3月~4月)
- 3.4.最終回:第6期システムアーキテクト育成選抜研修 最終報告会
- 3.4.1.チーム:Konycle
- 3.4.2.チーム:TAMA
- 3.4.3.チーム:サルス
- 3.4.4.チーム:COMG
- 4.おわりに
はじめに
ごあいさつ
はじめまして。DW-DX事業本部 DX開発推進センター 山中です。
「システムアーキテクト育成選抜研修」(以後、”SAS研修”と表記)の運営委員を務めています。
私自身も第2期の卒業生であり、第5期から運営委員として本研修に参画しています。
2022年4月から約1年間に亘って行ってきた第6期SAS研修が6月29日(木)に最終報告会を迎えました。
今回はPhase3と最終報告会についてご紹介します。
過去の関連記事
第6期SAS研修に関する記事は以下をご覧ください。
研修全体説明 コニカミノルタの人財育成「システムアーキテクト」編
Phase1研修 コニカミノルタの人財育成「システムアーキテクト」編 その②
Phase2研修 コニカミノルタの人財育成「システムアーキテクト」編 その③
Phase3・最終報告会の概略説明
これまでSAS研修ではPhase1、Phase2とやってきましたが、いよいよSAS研修も大詰めのPhase3です。
ただ、Phase3とは何をやるのでしょうか?また、Phase1・2とは何が違うのでしょうか?
とてもざっくりとしていますが、ここで簡単に説明します。
おさらい
まずはPhase1・2のおさらいです。
Phase1では運営が設定した課題と解決策をひとつずつ学びながらシステム化をする。
Phase2では運営が設定した顧客課題を受講生がシステムアーキテクトとして最適な解決策を見出し、システム化をする。
でした。
Phase3とは
一方でPhase3とは、Phase1や2に対して更にひとつレベルを上げたカリキュラムのことを指します。ゴールとして以下を設定しています 。
『Phase3:社会に必要とされるプロダクトとその要求を定義し、システムアーキテクトとしてその価値の検証をプロトタイプを用いて行う。』
コニカミノルタではDX as a Serviceへの業容転換実現が必要であり、システムアーキテクトも顧客課題を自分ゴトとして捉え、解決に向かう姿勢が必要と考えた為です。
その為、受講生が自分自身で解決すべき顧客課題を設定し、その上でPhase1~Phase2で学んだように解決策やシステムの妥当性を示しながらアーキテクチャを考え、プロトタイプも作成するカリキュラムとなっています 。
ただ、この活動はさすがに1人ではできませんので、2月に3人~4人のチームを編成して活動を進めてきました。
この活動の中では、 各チームにはメンターがつくのですが、「それを解決すると誰が嬉しいのか?」など厳しい指摘も受けながら、チーム一丸となってお互いに得意なことは教え、苦手なことは教わり、協力しながらひとつずつ壁を乗り越えて進めてきました。
最終報告会とは
最終報告会とはその名の通りSAS研修全体を通しての集大成の場として用意された発表会で、コニカミノルタ役員を含む全社員誰でも聴講可能となる一大イベントです。
やはり、こうやって切磋琢磨しながら成長してきたメンバーの成果はできるだけ多くの人に知ってもらう必要があるので広く見てもらう必要があります。
最終報告会ではプレゼンテーション、プロトタイプを実際に動かしデモンストレーションも行ったことで、とても賑やかな会となりました。
Phase3・最終報告会の詳細紹介
第1回:MOT教育
アイデア検討
さすがに何もないところからは何もでてきません。
テーマとしてはコニカミノルタの経営ビジョンでもあるImaging to the Peopleにちなみ、「自分が”見たい”と思えるものを”見られる”ようにする」 を掲げ、テーマを考えるきっかけとしました。
アイデアは大谷翔平選手も18歳にやったという噂のマンダラートを用いて、ベースアイデアを考えました。
下の図(左)は実際に受講生が書いたものの内の1つです。しっかり埋めきることはとても大変ですが、よく頑張っています。
更に自分なりに、・誰をターゲットとするのか?、・どんな課題を抱えているのか?、・サービスの概要は?、・利用イメージは?、・技術のポイントは?、を観点にまとめてもらいました。
先ほどのアイデアからは以下の図(右)のようなアイデアが産まれています。15人15色でそれぞれ90秒間でピッチをしてもらいました。
MOT (Management Of Technology)
ただ、この段階ではただのアイデアでしかありません。
ここから更に、これらのアイデアが世の中で必要とされるのか!?を大真面目に検討する為、フレームワークとしてMOT (コニカミノルタの研修プログラムのひとつであるMOT研修のビジネス創出フレームワーク) を使いました。
内容に少し触れると、
- ジョブツリーを用いて目的と手段を書き出し、「本当に解決したいことって何だっけ?」を整理する
- デスクリサーチ方法を学び市場動向を把握する
- 戦略キャンバスを用いて、プロダクトの勝負ポイントを決める
などです。
普段の開発業務とは異なり、頭の使いどころが違うので皆さん苦労していました。
下の図はそんな中でも一生懸命になって受講生が考えた戦略キャンバスです。価格設定以外にも様々な観点で競合分析をし、勝負ポイントをどこにするかを考えています。
第2回:MOT発表&チーム分け
ここまで検討してきた、ジョブツリーの分析結果から顧客が真に解決したい課題は何か、それを解決する方法は何か、どこに優位性があるかなどは戦略キャンバスを用いるなどして、システム案までまとめ発表していただきました。
全7チームで発表を行い、投票や話し合いを経て4テーマまで絞りました。そこで絞られたチームとテーマを紹介します。
チーム:Konycle
チーム名の由来は、KonicaMinoltaとCycleの造語です。
テーマの内容は、自転車にLiderを搭載して安全運転を促すシステムを作るそうです。
愛社精神にあふれたチームです。
チーム:TAMA
チーム名の由来は、チームメンバーの頭文字からつけました。
テーマの内容は、生産ラインの工程の分割と各々の作業にかかる時間を測定・改善を促すシステムです。
メーカーのコニカミノルタにとってはとても重要なテーマです。
チーム:サルス
チーム名の由来は、診るのSight(サイト)と、ヘルスの造語です。
テーマの内容は、理学療法士さんが目で見て判断している筋力低下をシステム化して検知しています。
QoL事業も手掛けるコニカミノルタにとっても健康寿命の延伸というのは大事なテーマです。
チーム:COMG
チーム名の由来は、自他ともに認めるコミュ障の集まりだったようで、コミュニケーション(Communication)をがんばる(Ganbaru)からとりました。
テーマの内容は、駅やテーマパークなど人の集まるところで人流の状況に応じて動的に案内をするシステムです。
ちょうど韓国での事故もあったので重要性を強く感じました。
どのチームのどのテーマもとてもユニークで魅力的です。
この4チームで活動を開始したのが2月からです。そこから業務の合間を縫いながら約2か月で実装完了までやりきるので、なかなかハードですね。
第3回:チーム検討(3月~4月)
チーム活動
皆さん時間がない中、各チーム熱心に議論しました。
いま考えているシステムの構成はどうなっているか、ひとつひとつ言語化し、図に表し、レビューしてもらったり、他のチームではいつ、どこで、誰に、何を提供するのかをチーム内で喧々諤々と話し合っています。
PoC・中間報告会
4月には出来栄えの確認やプレゼン練習の場として中間報告会を実施しています。
また、テーマとしてDXを実現する為の価値提供、システム構築をしていますので設定したお客さんに評価してもらうことはとても重要となります。
ちょうど2023年4月からは長かったコロナウイルスによる行動制限も明けたので、チームによっては某交通局や、某市役所までアポイントをとり、システムをもって伺い、デモンストレーションをやってきました。
ご協力いただいた方々には厚く御礼申し上げます。
最終回:第6期システムアーキテクト育成選抜研修 最終報告会
さて、これまで、ただのアイデアだったものをMOTを使って、どのようにして価値として届けるのかを考えました。
社内でアンケートをとったり、社外に出てPoCを実施したりして、実際のユーザーの声を多く拾ってきました。
自分たちの考えをチームのメンターや上長など、色んな人にたくさん壁打ちしました。それらの結果を真摯に受け止め、システムや考えのアップデートを繰り返してきました。
そして、いよいよ最終報告会です。各チームの最終報告会の様子を紹介していきます。
チーム:Konycle
テーマは自転車の安全運転システムです。
Jetson nanoに2次元の地図データを持たせ、2D Lidarの出力結果との組み合わせにより「見通しの悪い交差点」を検知しています 。
自転車の速度も踏まえて”危ない!”とシステムが判断したらパトランプが赤く光ります。
下の図の通り、実際に自転車に搭載してデモンストレーションも行い、見通しが悪い交差点から急に人が飛び出して来ても、前もってしっかり止まれることを実証していました。
ただ、システムが物理的に重いのと、Lidarを使わなくても実現できたんじゃないか!?
疑惑は残りましたが、しっかり自分の考えを述べられていました。
チーム:TAMA
テーマは、生産ラインの工程改善システムです。
製造ラインは複数の作業者が並んで、Aという工程が終わったら、次の人がBという工程を順番にやっていきます。
作業者はその熟練度に応じて作業時間が変わってきますので、どの工程に課題があるのかを分析するにはまず作業の時間測定が必要になります。
ですので、今回はミニマムに、製造ラインを流れる物品を受け渡し場所から持ってきて、次へ流す所に焦点を絞って、作業の開始と終了を検知し、作業時間を可視化するところまで取り組みました。
更に細かな作業の分析もしたいなどの野望も秘めているようでした。
チーム:サルス
テーマの内容は、フレイル防止システムです。
理学療法士さんは人の様々な動き から、どこの部位が筋力低下をしているか?というのを目で判断しているようです。
このノウハウを実際に理学療法士さんにヒアリングしてきたことで、自分自身の筋力状態を気軽に検査でき、最適なトレーニングをレコメンドするシステムを構築しました。
今回は”椅子の立ち座り動作”で取り組んでみました。この被験者はしっかり足腰を鍛える必要があると診断されていました。
また、Jetson NanoにはコニカミノルタのFORXAIシステムを組み込んで実現しています。
チーム:COMG
テーマの内容は、人流検知と表示システムです。
駅構内での様々なキケンがあるのですが特にエスカレーターでの転倒防止を1stターゲットとしています。
前方から歩いてくる人がいた場合にエスカレータの前で”一旦停止”を促し、落ち着いて乗ることで実現します。
実際のデモンストレーションの様子はいかがでしょうか?
足元でしっかりと『STOP』と表示されています。
混雑時はどうするの?など、突っ込みどころは満載ですがとてもユニークなテーマでした。
おわりに
Phase1から少しずつ難易度を上げ、Phase3では受講生自らが課題を設定し、その課題を解決するシステムを作成し、PoCを通じてブラッシュアップの上、最後は最終発表として発表するカリキュラムでした。
個人検討から始めたので15テーマあったところから、検討を重ね、最終的には4テーマに絞った上で発表をしました。
何もないところから少しずつ積み上げて形にしていくのはとても難しかったと思いますが、最終報告会を終えた受講生は解放感と、どこか逞しく感じる表情が印象的でした。
さて、第6期SAS研修はこれで終わりです。
第7期SAS研修のカリキュラムを検討するところから始めますので、しばらくのお別れです。
最後まで読んでくださってありがとうございました。また、別の投稿でお会いしましょう。
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