catch-img

データ分析業務をする際に指針としている考え方 (おすすめの本つき)


目次[非表示]

  1. 1.ご挨拶
  2. 2.この記事で話さないことと、本記事の対象者
  3. 3.解くべき課題の設定が一番大事(イシュードリブン)
  4. 4.構造的類似に着目し、進んでいる世界から借りる(アナロジー思考)
  5. 5.ものごとの均衡や自己強化の流れを理解する(システム思考)
  6. 6.おわりに

ご挨拶

はじめまして。データサービス技術部第2グループの坂巻です。

我々のグループでは、社内の様々な事業部へ入り込み、データ分析業務やデータ分析に関連するPoC実施、社内のデータ分析人材育成を行っています。

今回は今までの業務を振り返り、自身が指針としていた考え方やその指針の確立にあたり、影響を受けた本を紹介したいと思います。

この記事で話さないことと、本記事の対象者

まず最初に、この記事で話さないことはこちらです。

  • 各種統計分析手法の詳細(回帰分析・検定・実験計画など)
  • プログラミング技術に関するもの
  • 分析コンペに関する知見

この記事は、以下に当てはまる方へおすすめします。

  • データ分析業務や、関連したPoCへ関わる人
  • 広い視点でデータ分析を捉え、業務に生かしたいと思っている人
  • データ分析業務に活かせる、何らかの本を探している人

それでは本題へ移ります。

解くべき課題の設定が一番大事(イシュードリブン)

みなさんはイシューという言葉をご存じでしょうか? 普段はあまり見ない言葉だと思います。私も日常生活を送る上では全く使うことがない言葉です。

英語でissueと書き、調べると意味がたくさん出てきます。今回言及するイシューとは

(A)二つ以上の集団の間で決着がついていない問題

(B)根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題

に当てはまるものです。そして、私が今持ち合わせている上記の指針を立てるにあたり読んでいた本はこちらです。

  イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」 人生は何かを成し遂げるためにはあまりにも短い。やるべきことが100分の1になる問題設定&解決法を紹介。コンサルタント、研 honto


著者の安宅さんは本書でこう述べています。

仕事の生産性を高めるには、(中略)バリューのある仕事にこだわることが大事であり、バリューのある仕事を、

イシュー度:自分のおかれた局面でこの問題の答えを出す必要性の高さ

解の質:そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合いがそれぞれ高いもの

と定義しています。

実際のデータ分析業務でいうと、クライアント企業のご相談内容や、社内事業部のお困りごとを最初にヒアリングする時が、イシューの原石を選別する時であり、分析計画を提案する課題設定のフェーズが、イシュー度を高めるフェーズかと思います。そして、自分・他人のテーマを振り返ってみると最初のイシュー設定がうまくできた時は、そのテーマはほぼ上手くいっていました(私の経験上)

前処理が8割ともいわれるデータサイエンティストの業務ですが、よいイシューの設定もそれに匹敵するほど大事な業務だと私は思っています。実際の業務をする上では、どちらかというとイシュー設定とディレクションを担当する分析リーダーと、分析実務を遂行するエキスパートやその指示を受ける分析ジュニアと分業されていることも多いと思います。しかし、対等に議論するために、イシューという概念はどの役職でも持ち合わせていても良いか思います。

本書では、良いイシューをどう設定すればよいのか、イシューを設定してからどうアウトプットにつなげていけばいいかの詳細なテクニックが紹介されています。しかし、これを紹介するだけで数記事になるレベルのため割愛します。

ちなみに本書で述べられていた『悩むと考える』の違いは本田翼さんも話していたそうです。説得力が増しますね!


また、著者の安宅さんは、データサイエンス協会の理事を務めています(2022年3月現在)

読者の中には、協会主催のイベントに参加して話を聞いたことがある人もいるかもしれません。

ちなみに、弊社はデータサイエンス協会の賛助会員であり、協会主催のイベントへ定期的に参加しています(すこし宣伝!)

構造的類似に着目し、進んでいる世界から借りる(アナロジー思考)

アナロジーという言葉をご存じでしょうか? 日本語では類推という言葉で表現されるものです。

私がコニカミノルタに入社した当初、アナロジーを使った例を挙げてみました。

  • 承認や稟議をとる際に、どんなフローをとるのか
  • 分析結果を報告するにあたり、抑えるポイントはどこか
  • わからないときにいつ、どんな形でアラートを投げるのが望ましいか

対象とする領域や、タスクの詳細は違えど、おおよそ同じような構造となっている既知のもの新たなものに適当に当てはめて検討するこれこそが、アナロジーです。一般的に社会人経験が長くなればなるほど(≒経験を重ねて、アナロジーの元となるひきだしが増える)、このアナロジーという思考を活用しています。

そして、今回紹介する本はこちらです。

  アナロジー思考 「構造」と「関係性」を見抜く すべての思考は「アナロジー(類推)」から始まる−。複雑な事象に潜む本質的構造を見抜き、それを別の分野に応用するアナロジー honto

アナロジーは、社会人になりたての方がよく教育を受けるロジカルシンキングと一定の距離がある思考です。しかし、実生活における直観的で素早い問題解決企画立案課題の創造的解決をカバーするものとしてて役立つと本書を読んで理解しました。

その際にアナロジーを使うコツですが、先で述べた①自身の専門や業務領域に近いひきだしの多さ(経験知)に加えて、

ものごとの本質的な構造を理解し、類似箇所を見出す力

いわゆるアナロジー思考力

③(業界を問わず)進んでいるところに常にアンテナを張る感度の高さ

他の人に使われていない新しいひきだしの確保

①だけでなく後半二つが大事になります。

私自身を振り返ってみると、データ分析技術を使った新規サービス検討、既存分析、提案プレゼンの検討やBIの構成や見せ方をアップデートする時にアナロジーを使うことが多かったです。②に関しては、アナロジー思考自体の練度になります(ここは本書をに様々なテクニックが書かれています)

③に関しては、自身の実例を振り返ってみました。コロナ情勢における株高で趣味の投資を今までよりも一歩進めたのですが、これが実業務へ転用できる新しいひきだしを増やすことにつながったと感じています。

例えば、企業に着目した時のビジネスモデルや業種ごとに着目しているKPIや指標(そのまま分析業務に転用可能です)、投資家視点に立った時の合理的な行動(経営層や上層部の分析結果把握後のアクションの推測)、株価を左右する地合い、モメンタム、織り込みという概念(ビジネスにおけるトレンドや一時的な勢い、必ずしも合理的に動かない人間の特性等)、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析は、分析業務における個人や所属チームの流儀の違いとも似ていると感じます。

※一方で、アナロジーばかりに頼ると、認知バイアスを持つこともあるかと思います。使う際には一歩引いて客観的に自身をみる必要がありそうです。

ものごとの均衡や自己強化の流れを理解する(システム思考)

最後にご紹介するものは、システム思考です。大学時代にある方の発表で見聞きしたのがシステム思考との出会いでした。振り返ってみるととても含蓄のある考え方だったなと思います。

  世界はシステムで動く いま起きていることの本質をつかむ考え方 さまざまな出来事の裏側では何が起きているのか? あらゆるものをシステムとして考え、その本質をつかみ、奥底にある意識・無意 honto

上記の本はやや硬めに概念的に書かれており、最初とっつきづらいなと感じました。しかし、システム思考にまつわるそれぞれの言葉の定義がきっちりしており、結果としてこの本を理解するのが、システム思考習得に最短経路かと思います。

システム思考を理解する例として、交通渋滞と道路建設の例が一番わかりやすかったです(私は一番最初にこの例を紹介してもらいました)

  交通渋滞と道路建設 渋滞が繰り返し発生すると、市民から渋滞緩和の要望が出され、行政や政治家は道路建設によって、渋滞緩和を図ります。 ところが、それまで通勤圏でなかったところも通える範囲となり、開発業者が宅地開発を行います... チェンジ・エージェント(Change Agent)


引用元:システム思考・ループ図事例 社会編 交通渋滞と道路建設

道路の交通渋滞を解消するには、道路建設をすればよいと多くの方が思うでしょう。道路を建設すれば道路のキャパシティが増えるので、短期的には渋滞は解消します(短期で起こるバランス型ループ

運転手になり、いつも通勤に使う道で渋滞に出くわす状況を想像してみてください。はやくなんとかしてくれ、あともう少し道路を増やしてくれれば何とかなるだろうと思うのは想像に容易いですよね。そうした市民の声に応じて行政も道路の拡幅工事や新規建設を行います。

しかし、長期的には必ずしもその解決策が妥当なものとは限りません。

道路建設が進むと、通勤圏の拡大が起き、道路開発で街の利便性が高まるとともに、宅地開発がすすみ、車持ち世帯が増えるのため当初想定していた交通量をおおきく上回る状態になってしまいます(長期で起こる自己強化型ループ

よかれと思ってやった道路建設も、結局のところ最初設定していた問題の解決につながらず、だれも得しない新たな問題を生み出してしまったのでは、とても残念ですよね。

そんなことにならないためにも私は、分析企画業務をするとき、KPI設計をするとき、その他何か新しい施策を考えるときには、その施策の周りでどのような要素が紐づき、システムが構築され、ループを描いているか想像するよう意識しています(取り越し苦労となることも多いです笑)

プロジェクトを進めるうえで、データ分析担当に求められるのは、実分析業務を遂行するだけでなく、自身の作成したデータや主張の与えうる影響は時に強く、時に怖いものとなることを理解し、回りまわって何が起こるのか想像する慎重さも必要なのかと思います。自他問わず分析のレビューをするうえで、その想像力を補うツールとしてのシステム思考はとても有用なものだと思っています。

※統計学の観点でいえば、SEM(共分散構造分析・構造方程式モデリング)や状態空間モデルによる統計解析が、システム思考で作ったループ図の確からしさを検証するために使われる手法かと思います。

おわりに

いかがでしたか? 今回は広い視点でデータ分析の話をかいてみました。紹介した本はその内容の一部しか紹介できておらず恐れ多いですが、詳細に興味のある方は、書籍を手にとってもらえれば幸いです。

最後にコニカミノルタでは、一緒に働く仲間を募集しています。本記事で興味を持っていただけた方は下記のリンクより応募いただけると大変うれしいです。

中途採用はこちら

  キャリア採用情報 - 採用情報 | コニカミノルタ コニカミノルタキャリア採用情報 現在の募集職種にはこちらからエントリー可能です。募集要項、先輩インタビュー、人事部からのメッセージなど掲載。 KONICA MINOLTA


新卒採用はこちら

  新卒採用情報 - 採用情報 | コニカミノルタ コニカミノルタの新卒採用サイトです。募集要項や募集職種などの採用情報から、プロジェクト紹介、社員インタビューなどを掲載しています。ぜひご覧ください。 KONICA MINOLTA


コニカミノルタは画像IoTプラットフォームFORXAIを通じて、お客様やパートナー様との共創を加速させ、技術・ソリューションの提供により人間社会の進化に貢献してまいります。

Sakamaki Kota
Sakamaki Kota
技術開発本部データサイエンスセンターデータソリューション部所属。 新卒でスマホゲームの会社へ入社し、位置情報分析やゲームアプリのKPIやログ分析、マーケティングリサーチを経験。 2020年にコニカミノルタに中途入社。データサイエンティストとして社外のお客様を対象としたデータ分析業務、他事業部と共にデータ分析に関連するサービス開発、社内のデータエンジニア育成制度の立ち上げを行う。


pagetop